というか、わたしの見解はやっぱり間違っていなかった。

「……じゃあなんで溝中くんに夏菜子のこと話したの?」

「夏菜子に頼まれたから」

「頼まれたらするの?」

「俺はしちゃうんですよ」

わたしの口は開いたまま塞がらなかった。慧斗が自分の机に寄りかかりながら、わたしの方に腕を伸ばす。
その手が下顎を押して塞いでくれた。

それってどういう心境なのか、と聞きたかったけれどその前に予鈴が鳴った。

同時くらいに夏菜子が教室に入ってきたのが見える。わたしはモヤモヤした気持ちのまま自分の席に戻った。