わたしが見ると、船川もこちらを向いた。

「どうした、そんな悲壮な顔して」

「なんでもない……」

「あ、船川おはよ」

夏菜子が船川の存在に気付いて携帯から顔を上げる。

正直、夏菜子は船川と付き合うと思っていた。

実際お似合いだと思っていたし、二人ともお互いを悪くは思っていないだろうと考えていた。

「聞いてよ。あたし溝中くんと付き合うことになった」

「へー、長く続くと良いな」

しかもあっさりと言った。わたしの見解としては、船川は絶対夏菜子のことを好きだと思っていたので、それは結構ショックな出来事だった。