でも、他人事は結局他人事だ。

「どうして?」

尋ねた慧斗の翼が半分開いている。動物の尻尾や毛並みのように、それで気分が分かるみたいだ。

「遠い人だなって、わたしが思っちゃうから」

「俺が人じゃないからってこと?」

「そうじゃなくて、慧斗がすごすぎて、わたしが一緒に居辛いの」

生温い風が吹いた。花の匂いがする。
顔を見られないのは、わたしが傷つきたくないから。
その顔を見て、傷つくのはわたしだと知っているから。

「でも、そのくらいじゃないと、こっち見ないだろ」

見なくてもわかった。

寂しい顔をしているのが、わたしには分かった。