どうしたの、と聞きたい表情をしている。

「慧斗って、格好良いし背も高いし運動神経も良いし、学校でも目立つ方なんだよ。知ってた?」

わたしは言った。ずっと聞きたいことだった。

慧斗がわたしの言ったことを守っていたと知った日から。
慧斗がわたしに近づくようになった日から。

その背中には片方だけの翼が生えている。

「もっと、広いものに目を向けた方が良いと思う」

「何が言いたい?」

「わたしと一緒にいるの、やめない?」

命令でも言いつけでもない。わたしは問いかけただけ。
慧斗がわたしの言いたいことを汲み取ってくれるという期待をかけた。