夏休みが終わって2学期が始まった。
て、言ってもまだまだ外は暑い。

窓側で1番後ろの席の俺は、先生の位置からはよく見えない。
「はぁ、早く終わんねぇかな、ホームルーム。」
そんなことを1人で呟いていて、先生の話なんて聞いていなかった。
「今何時かな」
早く帰りたくて時計を見ようとすると、時計に目を通す途中、黒板の前に知らない女子が立っていた。

この学校の制服を着ている。でも、見覚えの無い顔。

「今日からこの学校に来た佐藤芽生さんだ、生まれつき体が弱くて空気の良い北海道にわざわざ東京に引っ越してきたんだ、だから仲良くしてやれ!」

白く透き通る肌に黒くて丸い大きな目、胸まで伸びたストレートの髪。
いかにも体が弱わそうだった。

「佐藤芽生です。小さい頃は北海道に住んでいました。よろしくお願いします。」

今日、初めて会ったはずなのになぜか、その声に懐かしさを感じた。
昔、聞いたことがあるような、綺麗な透き通った声。
気のせいか。体弱いとか、面倒くさ、関わんないようにしとこ。
懐かしさは感じたが夏の暑さとかで親戚か誰かの声と間違えたんだと思って全く気にしなかった。

「席は、永江の隣が空いてるからあそこ座れ。永江、あとは頼んだぞ。」

先生は佐藤に俺の隣の席に座るように言った。

おい、嘘だろ。あのクソ教師どんだけ面倒くさい仕事押し付けるんだよ。