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英澤市立病院
"郁美、あなたの近くに絶対助けてくれる人がいるから、あなたはもう十分がんばったよ、これからは人に頼りなさい"
「ん、………病院?」
「そうだよ」
「あ、………貝塚さん…」
「良かった、目覚めて」
「どうしてですか?」
「何が?」
「私、助けてもらったのに、貝塚さんにひどいこと言いました」
「そんなこといいよ、俺だって、感情的になって、他人のプライベート探ってしまったから」
「それは、父の事件のことですよね?」
「まぁね、俺、あの時の事件のことは一生忘れられないんだ。でも、君と苗字が違ったから気づけなくて。」
「はい、私、親戚の苗字をつけることにしたので」
「そっか…でもよかった。犯人は捕まったよ。連続殺人事件の二人組だった。ほら、前に一度あった時、あれは、たまたま君たちだったんだ、でも、君が強くて、悔しくてまた狙ったと言ってる」
「そうですか。やっぱり狙われてたんだ」
「うん、でももう大丈夫だから。あ、冴木さん、すごく心配してた。昨日、途中までは隣で君の手を握ってたんだけど、遅くなったから送って行った。連絡してあげな」
「はい。」
「じゃあ、俺、仕事に戻るから」
「あ、いろいろありがとうございました。」
「いえ、お大事に」
「ほんと……助かりました」
「…あのさ、」
「はい?」
「これから、俺のこともっと頼ってほしい」
「え?」
「同情だって捉えられたら誤解だ。助けたいって思った。お隣さんとして、君がほっとけない。それだけだ」
「………はい」
「……っっ、はぁ〜〜〜、ごめん、やっぱり、同情に聞こえるよな、本当に違くて、その…」
「大丈夫ですよ、わかってます。ありがとうございます。お仕事頑張ってくださいね」
「あぁ、」
もう一度、お大事にと伝え、恭太は病室を出た。
そこに、医者が来て、今回は検査の結果なんともないとのことで、その日に退院することができた。
翔子が電話の向こうで泣き叫んだことは言うまでもない。
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郁美の体調もすっかり良くなった一週間後のこと
「郁美!」
「あ、翔子、どうしたの?」
「これ、」
「イルカショー?」
「そう、その日さ、親戚の法事とかぶっちゃって行けなくなったの。友達と行っておいで」
「うそ、うれしい!ありがとう。」
とは言ったものの、誘う相手がいないと思った郁美。友達がいないわけではない。ただ、休日にお出かけをしようと思える友達が翔子しかいなかった。
「あ……」
郁美が思いあったのが、例の警察官だった。どうして、彼の顔が思い浮かんだのか、その時は分からなかった。