守ってくれる大きな手

「お前ら、何やってんだ」

「ちっ、ほら、行くぞ」

「中村後追え!」

「はいっ!」

「大丈夫?立てるか?」

「…………だ、だいじょうぶです」

「こんな震えてて大丈夫じゃないよね、怪我してる、とりあえず病院連れて行くな」

大丈夫ですと言いたかった郁美はそのまま意識を失った
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1時間前

「郁美、ちょっといいかな」

郁美の友達、冴木 翔子

「どうしたの、翔子」

「あのね、今日、付き合って欲しいところがあ
るの 、無理にとは言わないんだけど、用事と
か、先約があれば全然」

「今日、予定ないし、いいよ、付き合う」

「ほんと?ありがとう、良かった」
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放課後
「翔子、どこ行くの?」

「実はね、明日、彼の誕生日で、買うものに悩んでるの、今まで、ずっと手紙1つだったから、やっぱ高校生となるとちゃんとしたものあげたくなるでしょ?」

「そっか、いいね!でもわたし、いくつになっても、手紙って嬉しいものだと思うよ。」

「うん、彼にも言われた。わたしの手紙は心あったまるからって、で、手紙は続けようとおもってるの。でも、やっぱりもう1つ付け足したくて。いざとなってみると、何あげたらいいのかわかんなくてさ」

「そっか、そうだよね、男の人って何が欲しいかって、正直付き合っててもわかんないかも、って、私、彼氏できたことないけどね」

「そうなんだよね、普段、一緒にいる時、私は、雑誌見ててこれが欲しいとか言ってるけど、彼の欲しいものとか聞いたことなくて、かと言って、わざわざ聞くのも照れ臭くて」

「よし、わかった、じゃー、一緒に考えよう。私、翔子の彼氏さん会ったことないからどんな人かわからないけど、一緒に考えてあげるよ」

「ありがとう、郁美」
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「よし、買えたね」

「うん、ほんと、郁美には感謝しかないよ」

「いや、大げさだから、また、こうやって、翔子と買い物行けたらいいな」

「私も。あんまり、郁美と出かけたりしたことなかったよね、これから、いっぱい出かけようよ」

「うん!」
「じゃぁ、帰ろっか」

「そうだね、暗くなっちゃうし、こんな時間まで付き合わせちゃってごめんね」

「そんなこと、いいよ、楽しかったし」



どんっ!

「痛っ…、ごめんなさい」

「翔子大丈夫?」

「あ、うん、」

「あなたも謝ってください……………え」

相手の男はナイフを持っていて、フードをかぶり顔が見えない

「郁美、やばいよ」

「う、うん、翔子、怪我してない?」

「うん、してないよ、でもどうしよう」

あいにく、その場は人通りが少なく、誰も通らない

「翔子、逃げて」

「え、でも、郁美」

「私、合気道やってたから」

「でも….「いいから、警察」

「あ、うん」

翔子が後ろを振り向いた時、もう1人のフード男が立っていた

「郁美、無理だ」

「え?……うそでしょ。こうなったら……翔子、目瞑ってて」

ドサッ

「翔子、逃げて!!!」

「おい、てめー、」

郁美は、相手の男の腕を掴んで、投げ飛ばした
が、もう1人男がいたのを忘れていて、その男に、後ろから首を絞められた。

「うっっ、 、
どさっ!」

郁美は、肘で男の腹部を殴った。これほど強い郁美だが、1人で2人の男を倒すことができず、投げ飛ばしたはずの男は、起き上がって、ナイフを郁美の胸に突き刺そうとした。郁美は、それを振り払ったが、その腕を刺されてしまった

「いっ、、!」

そこで郁美の力は緩み、男に首を絞められる手を解けられなかった。

(もうっ、なんで、私、もっと強くなれないんだよっ!!死んでたまるかっ、)


「お前ら、何やってんだ」

「ちっ、ほら行くぞ」

「中村後追え!」

「はいっ!」

「大丈夫?立てるか?」

「だ、大丈夫です」

「こんなに震えて、大丈夫じゃないよね、怪我してる、病院連れて行くな」

そこで、郁美の意識は警察の腕の中でなくなった
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英澤市立病院

「お母さん、どうして、どこ行くの?」

「郁美、ごめんね、お父さんもいなくなって、郁美を1人にさせちゃう、お母さんもそんなの嫌だけど、もうダメなの。」

「お、おか、おかあさん?、ねぇ、ちょっと、意味わかんない…ねえ、明日退院できるって言ったじゃん、ねぇ、2人で温泉行くんじゃないの?」





「ん、(懐かしい夢)」

「郁美?……いくみ?わかる?ねぇ、郁美?」

「翔子?声おっきいよ、ここ…病院でしょ?」

「もう…バカ、よかった、まって、先生呼ぶから」

翔子はそう言って、ベットの上についているスイッチを押して、看護師さんに、何か言っている。郁美は目が覚めたばかりでまだ意識がはっきりしていない様子

「郁美、あんた、二日間、意識なかったんだよ、死んじゃうかと思った」

「ちょっと、翔子勝手に殺さないでよ……私がそんな簡単に死ぬわけないでしょ」

「ばか、ほんとばか、あんた、強がりすぎなの、ちょっとは自分の体大事にしなよ」

「翔子…ごめんね、ありがとう」

「お取り込み中すいません、ちょっといいかな」

そう言って、1人のスーツの男性が病室に入ってきた。

「わたくし、宇野警察署に勤めています、貝塚 恭太と申します」

そう言って、郁美に名刺を差し出した。

「あ、刑事さん、その節は助けていたいただいてありがとうございました」

「いえ、意識が戻ったと聞いたんで、お話伺いたいんですが」

「あ、すいません、刑事さん、郁美、まだ意識戻ったばかりで、」

「大丈夫だよ、翔子、刑事さん、大丈夫です。お話進めてください」

「あ、ごめんね、お友達心配だよね、そんな、時間はとらせないよ、でももし、具合悪くなったらすぐに言ってね」

「はい、」

そして、恭太と郁美の話は30分続いた