その日の放課後。
「郁美、ごめん、今日、彼氏とデートでさ」
「わかったよ、楽しんで来てね!」
「また明日!」
午後4時30分。
郁美がアパートに帰ろうとするが
どこからか、視線が向けられていることに、郁美は気づけなかった
☆*:,*(●´∀`)人(´∀`●)*・:*
「ただいまー」
郁美は誰もいない部屋に入ってそう言った。
(そう言えば…)
郁美はついさっき翔子に言われた若い男性のことと、恭太に言われたことを思い出し、考えた。
「まさか、ね」
ピーンポーン
「あれ、貝塚さんかな」
しかし、郁美は恭太が来る時は声をかけると言っていたのを思い出した。
「どちら様ですか?」
「…」
郁美は恐怖を覚えドアを開けまいと少し震えながら立っていた。
ピーンポーン
ドンドンドンドン
「(怖い……貝塚さん…助けて)」
郁美はベッドに潜り込んで震えた。
何分経っただろうか。またピーンポーンとなった。
いくみはドキッとしたがすぐに
「愛馬さん?俺だけど、貝塚です」
郁美は震えながらドアを開けた。
「こんばんは、ごめんね、急に…って、え、どうした?汗すごいけど、顔色も悪いよ」
恭太は今まで郁美のこんな恐怖を感じる姿を見たことがなかったのだ。
「愛馬さん、ちょっとお邪魔していいかな?」
「ど、どうぞ」
「お邪魔します」
「愛馬さん、何かあったんだよな?」
「………」
郁美は決めていた。今度恭太にあった時、絶対話そうと。
しかし、震えて口が開かない様子。
「え」
次の瞬間、郁美は恭太の腕の中にいた。
「大丈夫。言ったろ?絶対君を守ると、俺、こんなだけど嘘ついたことないんだぞ」
「………ヒック、こ、怖かった。どうなるか分かんなかった。貝塚さんが来なかったら私、ずっと震えてた」
「何があったか話せるか?」
「はい…」
それから郁美は恭太がくるまえにあったこと、翔子から聞いたことをすべて話した。
「そうか、そいつはやばかったかもな、開けなくて正解だったよ」
「私、やっぱり誰かに狙われてるんですかね?どうしよ、私…」
「…」
「はははっ、…情けないですね、将来警察官になろうとする人間がこんなんじゃ」
「バカか、そんなことねーよ。怖いって思うのは当然だ、今の警察官でもみんながみんな怖さなしにやってんじゃねーよ」
恭太は少し強めに言った。
「すいません。わたし、もっと強くなりたくて」
「君は十分強いよ、これ以上強くならなくていい」
「でも…」
「…これ以上、心配かけさせないでくれよ」
「え…?」
「おれ、職場にいて、女子高生がさらわれたって聞いたら、郁美ちゃんじゃないかってすげー怖くなる。みんな、そういうもんなんだよ、警察だろうと、男だろうと関係ねー。こえーもんはこえんだよ。俺らはそういう仕事してんの」
「そうですよね。すみません。私、何も知らないで」
「いいよ、でも安心しろ、怖いって言っても、愛馬さんを守るくらいの度胸はあっから」