しばらくして、ポケットに手を入れて、ずかずかと翔世が、こちらに歩いて来た。

そして私を見て、


「あ、今は持ってないよ?」


と、にやりとした笑みで言う。


「じゃ、何なの?」


そう聞くと、翔世はこう言った。


「今日中に、自分で渡しに行くってさ。」





……えっ?