亜咲の選んだダンスの振り付けが、なかなか難しくて、翔世君は嘆いてばかりいた。



「もうこんなの無理!もっと簡単なのにしよーぜー!」



「何言ってんの?これでも簡単な方だよ。あんたは、野球は出来るくせに、ダンスはまるでダメね!」



翔世君は野球部だった。先輩に負けないくらいのエースらしい。



「もっとはりーを見習ったらどうなの?」



翔世君とは裏腹に、はりー君はダンスが上手かった。振り付けに狂いがなく、キレがある。


それを自慢するわけでもなく、ただ真剣に踊っていた。


彼は、つかみどころがないなぁ、と思った。


塩顔でクールな人はかっこいいと言うけれど、ちょっと話しかけにくいと思うのは、私だけだろうか。