この人は何を言ってるんだろう、私またこの人と会うの?
考えただけで怖かった。
烏丸はそのままいなくなり、私は施設に戻った。
その時からかな、施設で明人さんの姿をよく目にするようになったのは。
なんだか烏丸と格好が似ていて怖かった。
だけど、明人さんは私に言った。
「初めまして、俺と家族にならないか?」
烏丸とは違う、もっと人間らしくて優しい明人さんに惹かれた。
そして6歳になると、私は明人さんに養子として引き取られた。
明人さんの子供、ということは天霧組の娘。
そのことに気づくのはもう少しあとだったけど…。
天霧組へ行くと、大きな男の人、みんな黒いスーツを着ていて怖かったのを覚えてる。
そして当時18歳の輝。
輝は最初、あまり話しかけてこなかったけど家で私がひとりでいると必ずそばにいてくれた。
そしてそんな輝が海外の大学へ行くことになり、私もついて行くことにした。
施設でも、やることが無かった私はずっと勉強していたし、天霧組へきてもやることは勉強と喧嘩の練習。
大学の勉強をする事はさほど苦ではなかった。