そして私はポツリポツリと、昔のことを思い出しながら話し始めた。
私が2歳の時、父親が死んだ。
私の父親は烏丸組の人だった。
烏丸組…あんまりいい噂はないよ。
もちろん、そこに居た私の父親も何人と人を殺してきたんだと思う。
今になったから言えることだけどね。
だけどその父親も、仕事で命を落としてしまった。
大事な、仕事だったらしい。
父親はそれなりの身分だったから死んだことに悲しむものも恨むものも両者いた。
でもそんなことを当時の私は当然知ることはなく。
母親と二人になった。
この母親は、本当の母親じゃない。
私は父親の連れ子でね。
生まれてすぐ本当の母親と離婚したらしくて、すぐその母親と再婚した。
けれど、父親が死んでから母親は急変。
私に暴力を振るうようになった。
毎日。
そしてあるとき、ぽつんと児童養護施設に置いてかれた。
3歳だった私は訳が分からなかった。
その時の私は本当の母親だと思っていたから、心底落ち込んだ。
お母さん、私の事いらないんだって。
けど、施設に入ってしばらくした時に偶然聞いてしまった。
私の父親のこと。
母親のこと。
本当の母親のこと。
何が何だかわからなかったけど、やっぱり私は捨てられたんだって事だけはわかった。