穏やかな水の音


さっきまで聞こえてた海の音とは違う


「…ぃ……か…」


何か聞こえる


だれ?


「…おい!しっかりしろ!」


さっきよりもはっきりと聞こえた声に目を開く


どうやら死ねなかったようだ


「大丈夫か?」


目の前にいる男の人は心配そうに私を見る


年は私と同じくらいだろう


綺麗な顔立ちをした人


金色の髪が月明かりに照らされて光って見える


外国人だろうか


目も青い


「…貴方は?」


「俺はライアンだ。お前こそ誰だ?珍しい黒髪だが」


「私は美月。東雲美月」


「…美月。もしかしてお前が異国の女神か?」


突然、女神とか言い出した目の前の男の人に絶句してしまった


「…はい?」


「予言通りの黒い髪に黒い瞳。美月という名。間違いない!」


勝手に話を進めるライアンに私は混乱する


「とにかく一緒に城に来てくれ」


「し、城⁉︎」


「あぁ!」


まだイエスとも言ってない私を無理矢理馬に乗せて、ライアンはどこかに向かって馬を走らせ始めた