私はすぐに病室を抜け出した
信じられなくて
ただ、走った
そして、立ち止まったのは
病院の裏庭だった
私は家を飛び出したから靴も履いていないまま
裸足で土の上を立っていた
そして、
ポツリ
またポツリと雨が降り出して
次第に激しくなる雨
その中、私はただ前を見つめて
何の感情もないまま
涙を流した
なんの、感情もなかった
悲しいも苦しいも
何もなく、ただ涙が次から次へと溢れてくる
「桜……」
そして、その声と同時に
私の体に温もりを感じた
すぐに抱きしめられてるんだなって分かった
「大丈夫。
大丈夫だから。
僕が桜を守るから」
そう言って、私を抱きしめて
一定のリズムで叩いてくれた男の子
それが
ヒロくんだったんだね