-唯奈side-


教室から出て行った桜を私は名前を呼ぶことしかできなかった




そして、隣にいた李緒は複雑そうな顔をしていた



確かに、朝から桜は上の空だった



私が声をかけるまでずっと窓の外を見ていた



その時の表情がすごく泣いているように見えた



陽斗くんが機嫌悪くなるのは確かに桜が関わっている時だけ



「俺、まずい事言ったかな」



そう言う李緒



「いつかはこうなる時が来るのは仕方がないんだよ」



そう、仲の良い幼馴染みが続くとは限らない



一度はこじれてしまう



それは思春期というものが幼馴染みの中を邪魔をする



そして、ここで分かれ道が出来てしまう



仲良しでいられ続けるか



そうじゃなくなるかが分かれてしまう時だと私は思う




桜は私にとってとても大切な子



苦しんでるなら私は手を差し伸べたい