「いかないよ。どこにも」


その優しい声と温かい手がやけに安心して。一筋の涙を零して私はまた、すうっと、眠りについた。





数時間後、私はまた目を覚ました。さっきみたいに嫌な夢はみなかった。


寝たためか、少し楽になった。体も軽い気がした。回復力恐るべし。



「起きた?」


机に向かってパソコンをいじっていた遊がこちらを向いた。真っ黒の黒縁メガネをつけている。


あ、メガネ…かけるんだ…


そんなことを思いつつ、ゆっくりと上半身をあげた。


「遊……だいぶ、楽になりました…」