「や……だ…」


小さな声だった。遊は気付かないでドアノブに手をかけていた。


やだ…行っちゃやだ…………!



「…わんっ」


振り絞って出した声。精一杯の声。


遊に聞こえたのか、ばっと振り向いてベッドに近づいてきた。


「よくできました。…どうしたの?」


綺麗な顔で優しく微笑んで甘い声で囁く遊。温かい手で私の頭を撫でた。


「いか、ないで……」


嫌だ…寂しい………


風邪になるとどうしても暗い気持ちになってしまう。弱くなってしまう。