過労で倒れたらしい。それも階段で。そんなに段数はなく、大事には至らなかったが、1部記憶を失った状態で目を覚ました。
「時雨…?ごめんね、お母さん倒れちゃった…」
時雨と2人でお見舞いに来ていた時に目を覚ましたので、1番に時雨を見たおかあさんは申し訳なさそうに謝っていた。
…倒れたのは私のせい?おかあさんに負担をかけちゃったから…?
どんな顔すればいいのか考えていると私に気付いたのか、私の方をみて微笑んだ。
「あら、時雨。そちらのお嬢さんは?」
「え……」
すっかり私のことを忘れてしまったおかあさんは、いつもと同じように笑っているのに違う。
ショックで言葉が出なかった。悲しくて仕方がなかった。まさか、忘れてしまったなんて…