「……」
「だから…ごめん。」
「……
ふふっ。」
謝る俺に、突然彼女が小さく笑った。
(え…)
見られずにいた彼女の方へ咄嗟に眼を遣る。
「分かってた。」
彼女が微笑む。
「けど、言わずに終われなかったから。
…ふふっ。言っちゃった。」
「……」
小さな悪戯が成功した子供みたいに彼女は笑う。
今まで何度となく人の期待に応えられず、傷つけてきた。
けど、こんな風に笑う人は初めてで…
「…ごめん。」
「謝らないで。友達でしょ?」
「…うん。」
「これからも今まで通り。ね?
さ、帰ろ?」
今泉さんが駅に向かって歩き出す。
そしてその後を俺が追う。