付き合い始めだから格好よく見える、か。

 付き合い始めは可愛く見える、と同じですよね、とあまりは思っていた。

 私もそろそろ可愛くなく見えてきましたか?
と海里の部屋のベッドの上で、くつろいで本を読んでいる海里を窺う。

 ……変わりましたね、海里さん。

 前は、終わったあとも、いつまでも、ぎゅっと抱き締めてくれていたのに、最近は、余裕で本とか読んじゃってますよ、と恨みがましく見つめる。

 やはり、もうすぐ捨てられるに違いありません、と海里が聞いていたら、
『また発想が飛んでるぞ』
とそっけなく言ってきそうなことを思う。

 海里はこちらの視線に気づいたように、チラと見て、
「なんだ。
 なにが不満げなんだ?

 ……お前も、たまには愛してるとか言ってみろ」
と要求してくる。

 うーむ。
 態度もデカくなって来ましたよ。

 いや、それは前からか、と思いながら、

「無理です。
 此処は日本で、私は日本人です」
と言って枕を抱きかかえ、あまりは丸くなる。

「そうか」
と言ったまま、海里はまた本に目を落とした。