「いやそんな、ものすごく歓待してるみたいじゃないですか」
と言うと、

「初めて彼氏が来るのに、歓待しないとかあるの?
 あんた、往生際悪いわね。

 ぐずぐず言ってると、すぐ逃げ出すのよ、女って。

 あ、違った。
 男って」
と言い直す。

 ……なにかぐずぐず言ってて逃げられたんですか? と思ってしまった。

「あ、でも、そうだ。
 帰って部屋片付けなきゃ」
とあまりは呟く。

 既に日はかなり落ちている。
 テラス席だから、それがよくわかった。

 なんだか急に落ち着かなくなる。

「えーと……帰ったら、なにしたらいいんですかね?
 部屋片付けて」

「お風呂に入って」

「飲み物用意して」

「下着着替えて」

「そうだ。
 キッチンも……」

「三つ指ついて、待ってればいいんじゃないの?」

「……すみません。
 変な合いの手入れないでください」
と言ったのだが、大崎は、だって、部屋に来るってことは、そういうことでしょう~っ? と言う。