お昼休み、あまりはまた総務の前で、パンと珈琲を売っていた。

「美味しさで固まるカフェ、ゴルゴン。
 二週間限定、出張店舗でーす」

 昨日は即行売り切れてしまったが、今日は、総務以外のお客様もたくさん来ていた。

 へー、とみんな物珍しげに覗いていく。

「あの店のよね。
 もうベーグルないの?」
と女性社員に訊かれた。

「あー、さっき売り切れちゃったんですよー。
 全部マスターの手作りなので、あんまり量、作れなくて」

「あそこで手作りしてるの?
 美味しいわよね」
と言いながら、他のパンを買ってくれた。

 もちろん、珈琲もつけて。

 他の人が、
「そうなんだ?
 あのイケメンの甥御さんは、パン、焼かないの?」
と訊いてくる。

 さすが近いだけあり、店のことも、よくご存知のようだ。

 そういえば、短いバイト期間でも、見た顔が結構居るような気がする。

 商品の数が随分減った頃、総務で見た気がするお姉様方がやってきた。

「あら、もう、これだけしかないの?」