「どうしたんですか、支社長。
 寝不足っぽい顔してますけど」
と朝、お茶を持って行ったあまりは、海里に言った。

 海里は目を閉じ、機嫌悪く言う。

「……顔と脚だけの妖怪が出てきて、うなされたんだ」

「一本だたらですか?」
とあまりが言うと、

「無駄な知識を披露するな……。
 お前の顔をしていたぞ」
と言ってきた。

 な、なんでですか、と思っていると、
「昨日は無理やり入り込んだんだから、呑み代は俺が払うと言ったのに」
と海里は言ってくる。

「いえ、昨夜の海里さんは支社長ではないので、払ってはいらないそうです。

 そうでなければ、昨日のご無礼がなかったことにはならないので、と秋月さんが言ってました」
とあまりは笑う。

 あ、昨日のまま、うっかり海里さんとか言っちゃった、と思ったのだが、海里は、
「そうか」
と特にそこは反応せずに流していた。