男って莫迦だな、と思いながら、その可愛らしさに笑う。

 店の外に出るとき、ガラス扉に自分に背負われて眠るあまりの姿が映って見えた。

 お姫様のようにすやすやと眠っている。

 実際は、ただの、しこたま呑んだ酔っ払いだが、それが顔に出ないところがあまりの得なところだろう。

 同世代だったら、カンにさわるモテっぷりかなとも思うが、キャラの問題か。

 桜田ファミリアもなにも気にしていないようだった。

 後ろで、寺坂と楽しそうに笑っている。

 まあ、女って、結局は、大勢にモテるより、たったひとりの好きなひとに自分を見ていて欲しいものだからな。

 あまりは恋も知らない感じだが。

 一体、誰を好きになるんだろうな、と思う。

 仲がいいんだか悪いんだかわからない海里と成田は斜め前を歩きながら、まだ揉めている。

 海里は時折、ちらとこちらを気にするように、振り返っていた。

 あまりの好きになる相手が、いい男であることを望むよ。

 うちの旦那みたいな、と秋月は、月を見て笑う。

 自分が呑みに行っているので、旦那は。今頃、子どもを寝かしつけるのに往生していることだろう。

 酒でも買ってってやるか……と思いながら、あまりを落とさないよう、ゆっくり歩いていった。