「いや、待て。
 俺が脚を持つから、お前が頭を……」
と言い直した海里に、成田が言う。

「何故、お前が決める。
 俺が頭を……」

「じゃあ、いいじゃないか」

「いや、待て。
 やっぱり、俺が脚を……」

 それは、何処を持ったらいいという話ではなく、何処を持ちたいかという話ではないのか、男どもよ。

 あまりの可愛い顔か、綺麗な脚か。

 まあ、自分が男でも迷うな、と思う。

 っていうか、こいつら、どんな体勢で抱えていく気だ。

 通報されるぞ、と思うのだが、二人とも、一人があまりを抱えるのは恥ずかしいらしい。

 ……若い男は可愛いな、とあまりに言ったら、秋月さん、生き血をすすり出しそうですっ、と言われそうなことを思う。

 腕力的には、寺坂がひょいと抱えれば済む話なのだが。

 寺坂もこの騒ぎに割り込んで、抱えましょうかとは言えないらしく、端でのんびり、桜田と話している。

 面白くはあるが、このままでは埒があかないだろうな、と秋月は割って入った。