いやあ、楽しい酒だった。

 会が終わる頃、秋月はご機嫌だった。

 ひとつの問題を除いては。

「……秋月さん、どうしてくれるんです」
と支社長に言われる。

 あまりは、ぼちぼち酒は強かったのだが、秋月のちゃんぽん攻撃にやられ、テーブルに額をぶつけ、寝てしまっていた。

「すみません。
 でも、ほら、楽しかったみたいですよ。

 安らかに眠っておられます」
と髪のかかっていない方の顔を示して言う。

 あまりは器用なことに、笑ったまま寝ていた。

「死んでるみたいだから、やめてください……」

 社長の息子だった海里は、本社の総務に居た頃から知っているのだが、会社に入り、上司となっても、あの頃のまま、自分には敬語を使ってくれていた。

 これ、どうするよ、と海里と成田の男二人が額を付き合わせて困っている。

 海里が言った。

「俺が頭を持つ。
 お前、脚を持て」

 レスキューか。