「ううん、私こそありがとう」


私がそう言うと、天童君はもう一度ニコッと笑ってくれた。
そして改札を通り抜け、私とは逆の階段を降りて行った。


私はその後ろ姿を見送った後も、しばらくそこから動けずにいた。

初めて感じる寂しいとも悲しいとも違う気持ち。



……………必死で頭の中を探って出てきた言葉は 


”空虚”


くうきょ。
空っぽ。虚しい。



うん、これが一番近い気がする。