しばらくしておばちゃんが起こしに来た 。


どれくらい寝てたんだろう・・・



「 由良ちゃん 、今・・・いいかしら・・・?」




「 うん 。どうしたの?急に話って ・・・」



するとおばちゃんは悲しそうな目で





「 ・・・由良ちゃん 、晃季に変なことされてない・・・?」







え・・・おばちゃん知ってるの・・・?






「 ・・・何で?」




「 晃季の部屋を片付けしてたらね 、由良ちゃんの下着が何着も出てきたのよ 。」





・・・・・・。




晃季くんだったんだ 。




あたしは気付いていた 。


自分の下着が何着かなくなっているのを 。




「 っ。何もされてないよっ!?」




あたしはおばちゃんと晃季くんの関係を壊したくなくて



そう 、咄嗟に答えていた 。




「 ・・・本当・・・?いいのよ 、気使わなくて・・・もし晃季が何か・・・」


「 何もないって言ってんじゃん!!!」






バンっ!



あたしはこれ以上おばちゃんの前に居ると



全てを話してしまいそうで 、怖くなって

家を飛び出した 。



・・・っ。



・・・ おばちゃん傷ついたかな・・・



でも 、こうするしかなかった 。


あのままだったらあたし絶対おばちゃんの前で泣いてた 。


助けてって言ってた 。





たしかに晃季くんのことは憎い 。


信じてた分 、裏切られたことのショックは大きいし


許すことなんて出来ない 。





でも ・・・ もういいんだ 。


あたしは人形なんだから 。




いじめられたって

毎晩のように好きじゃない人に犯されたって



あたしは何も感じない 。







「 お前 ・・・ 。」



顔をあげるとそこには



「 あのときの ・・・ 」



そう。


あのとき助けてくれた不良が立っていた 。




「 お前こんな時間に何してんの?」



確かにあたりは真っ暗 。


今何時なんだろう 。


時計を確認すると 、


・・・ 23:43 。



「 はぁー 。とりあえず俺ん家こい 。」




そう言うとあたしの腕を引っ張って歩き出した 。



「 っ。ちょっ、ちょっと!辞めてよっ!」



「 ちょっと黙ってろ 。」



なんなのコイツ・・・。




抵抗しても連れてくんだろうなと思ったあたしは


黙ってついてくことにした 。





「 ここ 、俺ん家 。」




指した先には ・・・ 倉庫・・・?


コイツこんなとこに住んでんの・・・?



「 お前今コイツこんなきたねぇーとこに住んでんのかよって思っただろ 。」



・・・!?


何で分かった?




「 失礼なやつ 。とりあえず中入れよ 。」



ギィーーーっ 。



言われたまま 、後に続いて中に入ると



「「「 夢翔さんっ!お疲れ様ですっ!」」」



コイツと同じような不良達が目の前のこの男に

ぺこぺこと挨拶をしている 。



皆不思議そうな顔であたしのことを見てくる 。



「 ねぇ・・・ここ・・・なんなの?・・・」


「 まぁ入れば分かる 。」



そう言われ1番奥の部屋に入ると


「 夢翔来んのおせーよ 。」

「 今日暴走するって言い出したのゆーくんでしょー?・・・って・・・」

「・・・誰その女 。」



うん 。


誰?って聞きたくなるのは分かるけど


1番理解出来てないの 、あたしね 、あたし 。



「 拾った 。」



・・・・・・ 。


拾った!?!?



「 あの 、拾われたつもりないんですけど 。無理矢理連れて来たんでしょ?」



なんなのよ 。



「 ねぇー 、もしかして田代 由良ちゃん?」


チャラそうな男があたしに声をかけてきた 。


「 はい 、何で名前知ってるんですか ・・・?」



すると



「 お前有名だかんな 、あの学校で 。」



有名 ・・・


いじめられてるから 、そりゃそうだよね 。



「 そうだよー!僕も知ってる~ ♪ 」




「 ・・・ そうですか ・・・ あたしに関わるとあなた達もいじめられますよ ・・・ じゃ 。」


そう言って帰ろうとしたとき 、



ガシっ。



「 行かせるわけねぇーだろ 。」






やだ 。



この感じ 、あのときと同じ 。



やだやだやだ 。



どうでも良かったはずなのに 、


思い出すと震えが止まらない 。




「 っ。やっだ ・・・ 。」



「 おい 、どうしたんだよ 。」



「 離してっ。やだっよ ・・・ 。」



あたしを犯そうとしてるわけではないのは分かってる 。


でも震えが止まらない 。



「 由良ちゃん ・・・?どうしたの・・・?」




怖い 。



怖い 。



怖い 。




「 ・・・ ちょっとこっちこい 。」




夢翔はあたしの手を引いて違う部屋に連れてった 。



「 ・・・っ。うぅっ 。」



「 なぁ、お前家で何かされたのか ・・・?それとも ・・・ 」



「 あんたにはっ!関係ないって言ったはず!!・・・っ。」





「 ・・・関係なくねぇーよっ!!!」




・・・・・・




何でよ ・・・


何で ・・・ あんた何も関係ないじゃん ・・・




「 お前が話したくねぇーんなら無理には聞かねぇ。でもな 、お前が少しでも助けてほしいって思ってんなら関係ない 、だなんて言ってんじゃねぇーよ 。」




・・・っ。・・・





「 っ。何で ・・・よっ ・・・ 。」


「 あぁ?何でだ?・・・お前な 、こんな夜中に女が家から飛び出してきて泣いてんのに放っとくやつ居るか?・・・ましてやそれがお前となりゃ尚更放っとくわけねぇーだろーが 。」





・・・あたしだったら尚更 ・・・?





けど 、結局皆同じなんだよ 。



・・・ 信じても晃季くんみたいに裏切るの 。



お父さんお母さんみたいにあたしの事あっさり捨てるんだよ 。




「 ・・・もうホントにいいから 。」



「 良くねぇーよ!!俺が手掴んだだけでこんなに震えてんのに何もねぇーわけねぇーだろ!」



あたしはその声を無視し 、


部屋を出ようとしたところで


意識が途絶えた 。