どれくらい時間が経っただろうか。


部屋から晃季さんが出てくる音がした。




「 ・・・ちょっといいか。」




制服からだる着に着替え 、
さっきとは違う雰囲気に見とれていると



「おい 、大丈夫か?ムリならまた別の日でもいいけど。」




っ!あたしってば!何見とれてんのっ・・・




「 あっ、いや大丈夫ですっ。」




晃季さんに続いてあたしは部屋に入った。






「 あのさ、お前毎日虐待されてた・・・?」







え・・・?何でそのことを・・・・・・






「 ・・・ごめんな、辛かったろーに・・・助けてやれなくて。」





「 な、何で知ってるんですか・・・?」





あたし以外にこの事を知ってる人は居ないはず。





「 お前の母ちゃんの声丸聞こえだった。・・・多分うちの母ちゃんも知ってるよ。」





あ・・・そうだったんだ。





けど・・・・・・




「 晃季さんが謝ることじゃないです!」


あたしはにこりと笑った。





「 ・・・ お前誰かを頼ろうとか思わなかったのかよ。」







頼る・・・?




あたしには頼れる親族、友達なんか



誰1人居ない。






「 ・・・はい。」




すると晃季さんは察したのか



「 今日からはちゃんと頼れよ。俺のこと兄貴と思ってくれていいから。」







" 頼れよ。"






だなんて言われたの初めてで



「 あっありがとうございますっ。あたしっ。・・・」






ぎゅっ・・・






え・・・?






「 もう何も言わなくていいから。辛かったな。」




あたしは晃季さんに抱きしめられたまま


おばちゃんが呼びにくるまで


泣き続けた。


晃季さんはおばちゃんに

「 あんた何由良ちゃん泣かせてんのよ!!」

って怒られてたけど


「 ちっ違うんです!頼れって言ってくれたんですっ!」


と解釈したら、ほっとしたかのように


「 由良ちゃん、この家はもう由良ちゃんの家なのよ。」


そうおばちゃんは微笑んだ。



この幸せがずっと続くんだ ・・・





後々起こることを知るはずもなく





あたしはそう思っていた。