「好きだった人を忘れるなんて…おかしいよね」

笹中さんがそう言って笑った。

よりによって、好きな人を忘れるなんてこと、そうそうない。

むしろ忘れたくても忘れられないものだよね…


「何か理由があるはずだよ」


私の言葉に笹中さんは頷いた。


「でも、本当に不思議なことばかりだよね」

私達は3人とも、記憶がない?

いや、違う。


「3人じゃなくて、皆んなが忘れてしまってる…ってことよね。ただ、この3人だけが何かしら覚えていたり手がかりを持っていたりする…ってことよね」


私達以外が覚えていない、これは考えれば考えるほど奇妙なことだった。