「今度は、私のでも撮ろうね」


そう言うと、桜樹はうん、と頷いてトイレに入った。

私は顔が赤くなったのを冷ましながらリビングに戻った。


「マンゴーも結構いける」


テーブルの上はかき氷の試食会へと変わっていた。


「ほら、なずなも食べてみなよ」


樹里がおいでと手招きする。


「うん」


席に着きながら視線を感じて、顔を上げると海晴くんと目が合った。


ドキッとなる胸の鼓動で私の顔はまた赤くなる。


思わず目をそらしてしまった。


「ただいま」


いつもより少し早い母の帰宅。


「おかえりなさい」

「お邪魔してます」


振り返ると、


「かき氷パーティー楽しんでる?今日はお友達が来るって言ってたから、早く上がっちゃった」


「なんで?」

すごい勢いで返すと、


「あ、お邪魔してます」


桜樹がトイレから戻ってきた。


「やだ、イケメン二人も連れ込んで!さすが私の娘!」


母はウキウキした口調で、私の肩を突っついた。


「ちょっと、なずなママ。私の存在忘れてません?」


樹里がオーバーなくらい手を振った。


「樹里ちゃん、忘れてないわよ。大好きなたこ焼き、買ってきたよ」


袋から出てきたのは、このあたりでは1番おいしいと言われている、たこ焼き屋さんのたこ焼き。


「やった!うちじゃ食べられないからね。なずなママ大好き」


樹里はさっそく蓋を開けた。


「たこ焼き?」


桜樹が首をかしげていると、


「たこ焼き知らないの?」


母が桜樹の様子に驚いている。