「あれ?水沢ちゃんは?」



「買い物行ってる」



将司には全部話してある。


というより、話す気はなかったけど一年の時からお互いの部屋の合鍵を渡しあってるから言うしかなかった。




「へえ、ならちょうど良かった」



「30分もしたら帰れよ。アイツが帰ってくるから」



「はいはい」



将司は部屋の中のカーペットの上に座り、ベッドで寝ている俺の方を見る。




「てかさ、楓希ってぶっちゃけ水沢ちゃんのこと好きっしょ?」



「……は?ぶっちゃけすぎだろ、お前」



将司の言葉に思わず自分の耳を疑った。


コイツは何を言ってるんだ?


俺が真心を好き?ないないない。



「そうか?俺には逆にそうにしか見えないんだけど」



「お前、視力下がったんじゃね?」



「俺、こう見えても目はいいから」



「あっそ」




俺はベッドから起き上がり、壁にもたれて座る。



「で、ほんとは好きなんじゃねぇの?」



「ない。あんな女っ気のないやつ」




サバサバしてるし、ひねくれてるし文句ばっかりだし人のプライベートにズカズカ踏み込んでくるような女だ。



誰があんなやつ。



俺のタイプとは真逆。