【楓希side】





「ふぅちゃん、寝てたらごめんね。

冷えピタなくなったから薬局行ってくる〜」



扉の向こうから聞こえてきたアイツの少し高くて可愛い声。



俺は喉が究極に痛いので返事はしない。



はぁ…まじで俺は何してんだろ…。


頭の上に置いてあったスマホを手に取り画面に表示された時間を見るともう17時だった。



今日一日ずっと寝ていたから背中が痛い。


けど、朝ほどはしんどくない。


それも全部懸命に看病してくれた真心のおかげだろうな。




『ふぅちゃんは…あたしのこと好き?』




何故か安心して眠くなり、自然と瞼が閉じた瞬間に聞こえてきた真心の声。



でも、空耳かと思ってそのまま寝てしまった。



あのとき、起きていても俺は何も答えなかったと思う…というより答えられなかった。




もう人を好きにはならないと決めていたから。



女なんかいつだって簡単に人を裏切る。


それは男だけに収まらず、ときには女同士で醜い裏切りの争いをしている。



嘘つきまくって最低な生き物だと思うし。


そんな生き物もう二度と好きになることなんてない。