「離して…」
「無理。こんなところで会えるなんて思ってなかった」
果歩は遠くに行ってしまってあたしがこんな状況になっているだなんて思ってないだろうな。
「あたしは会いたくなかった…」
「なぁ、なんで俺を避けてんの?」
「別に…「俺なんかした?」
彼の口から次々と出てくる言葉たちにあたしの頭は追いついていかない。
「もうあたしに構わないで」
「俺はお前のこと本気だった」
なんで…なんでプールでこんなこと言い合ってるんだろう。
周りはガヤガヤしていてあたしたちの会話なんて聞こえていないだろうけど、胸がゾワゾワしてぎゅうと苦しくなる。
「嘘なんかいらない。
あんたの嘘は分かりやすいのよ」
何故か涙が出てきそうになるのをグッと堪えて彼から目を逸らす。