「も〜、真心ってほんと素直じゃないよね。
…もしかして、まだあの人のこと吹っ切れてないとか?」
「違う。それだけはないから安心して」
「そっか、ならよかった」
アイツのことなんかもう何とも思ってない。
むしろ、大嫌いだ。
果歩はきっとあたしが男の人と付き合おうとしないからまだ引きずってると心配してくれてるんだろうなあ。
「…わ!ごめんなさい。」
浮き輪でプカプカ浮いていると、ドンッ!と誰かにぶつかってしまった。
慌てて、その人に謝り、顔を見てあたしは固まった。
「え?水沢?」
なんで…なんでいるの?
でも、ここがプールでよかった。
固まってても水の流れの力で勝手にあの人から離れていくから。
なのに……
「ちょっと、待てよ」
どうして、引き止めるの?
掴まれた腕を振り払おうとしても男の子の力には敵わない。