「も〜、浮き輪取りに行くだけで何分かかってんのよ〜」
果歩たちのところまで無事に辿り着き、プールに入ってすぐに果歩にそう言われた。
ふぅちゃんに迫られてました……なんて言えるわけもないし。
言ったら果歩のことだから、また変なこと言い出しかねないもん。
「あとから行った有村くんの方が早く戻ってきたじゃん。
もしかして、なんかあった〜??」
うっ……相変わらず果歩はそういうところだけは鋭いんだから。
なんでこうも上手いこと聞かれたくないところ付いてくるかな?
「果歩、ニヤニヤしすぎ」
「あ、これは失敬失敬…って話逸らさないの」
「いや、ほんとに何にもないから」
あたしだって、ほんとは『ほんとはその有村くんと同居してるの!』って言いたく言いたくて…もうその言葉が喉元まできてるぐらいなんだから。
でも、お互いの学校生活のために秘密にしておかなきゃいけない。
「ふーん…まあ、いいや!真心には井原くんがいるもんね!」
「だーから!そんなんじゃないってば!!」
京香ちゃんに助けを求めようとキョロキョロしていると金田くんと浮き輪で楽しそうに二人プカプカ浮いている。
あの二人…付き合うのも時間の問題なんじゃないかな?