「俺も、向日葵。・・・好きです」



大くんも静かに話し始めた。






「俺、別に花が好きなわけじゃなくって。」





何も言わずに頷く。


なんとも言えない表情で遠くを見つめる視線。


引き込まれる大くんの世界。




「・・・でも、花の表情を見るのは、昔から好きだったんです」





「・・・表情?」





私がそう尋ねると、大くんは、向日葵の話をし始めてから初めて私の顔を見た。





「・・・意味分かんないですよね。ほら、雨上がりに太陽に当たって嬉しそうにする花とか、風に吹かれて気持ち良さそうに微笑んでる花とか」





「分かりません?」
そう言いながら私を見て微笑んだ。






「・・・何となく、わかるかな。」





そう答えながら、大くんの笑顔に引き込まれた私は、同じように微笑んだ。











「向日葵って」




大くんが、窓越しの空を見る。





「いちばん表情が変わる、わかりやすい花だと思うんですよね」







窓越しの空から目を離さずにそう告げる。






「俺の、憧れ・・・なのかな」






そう言ってから、私の顔を見た。





「・・・大くんにとって、〝特別〟なんだね」






大くんは、嬉しそうで、そして幸せそうな、でも、どことなく寂しそうな顔で笑った。