先生が部室を出て数秒、周りは静かだった。
その空気をいちばん最初に破ったのは私。
「さぁ!どうしよっか?大くん!」
その言葉が、止まっていた時間を動かしたように、みんなもそれぞれで作戦会議を始めた。
「香央、先輩の・・・夏っていえば、何ですか?」
大くんが私に尋ねる。
「夏といえば・・・か」
一瞬だけ間を置いて、私は答えた。
「やっぱり、向日葵かな」
「向日葵・・・」
嬉しそうに答える私の声とうらはらに、
大くんの声は、少し暗く感じた。
「・・・大くん?」
「えっ?なんで向日葵なんですか?」
「・・・?」
「香央先輩?教えて下さい」
「あっ、うん!えっとね」
いつもと違う気がしたのは一瞬だけ。
でもその一瞬が気になったのは私だけ。
気のせいか、そうやって私は再び、お題選びに専念した。