「マミちゃん、もうバス乗ってるの?引き止めはしないけど、俺、マミちゃんに渡し忘れたモノがあったんだけど・・・今度会った時に、受け取ってね!(笑)」

「ウン、もうすぐトウキョウとオサラバですぅ!。前に一度タキさんに話したと思うけど、結構良い街だから、機会があったら遊びに来てください。その時にでも、もらい損ねたモノ(笑)受け取ります!ではでは、タキさんお元気で」

首都高速から東北道へ入ると、夜景も寂しくなり始める。
私はカーテンを引いて、目を閉じた。
夜が明ける頃には、見慣れた故郷の駅に着く。


なれない長距離バスで、目を閉じたからといって、すんなりと眠れる筈も無く。バッグから文庫の恋愛小説を取り出して読み始めた。

もうすぐ到着という頃、カーテンの隙間から窓の外を覗くと、窓ガラスを幾筋も雨粒が滑り下りていた。

まだ薄暗く閑散とした、地方都市の駅前ターミナル。
吸い覚えのある空気の匂い、肌触り、気配を感じながら、バスを降りた。
全てが、ちょっと懐かしかった。