「君も。
女の子がこんな時間に出歩いたら危ないんじゃない?」
そう言うと、彼女はまた上品にクスクスと笑った。
「優しいんだね、君。
ねえ、優しいついでに少しだけお喋りに付き合ってよ」
座っていた場所から少し右へ避け、空いたスペースをポンポンと叩く。
長居するつもりはなかったけど、少しならと思い空けられたそこへ腰を下ろした。
「初めて会ったのにごめんね、馴れ馴れしくして。
たまには一人じゃないのもいいかなと思って…やっぱり迷惑だよね?」
「別に。怪しい人じゃなさそうだしいいよ」
「うん、怪しい人じゃない自信はあるよ」
「なにそれ」
先程とは違ういたずらっ子のように笑う彼女につられて俺も笑ってしまう。
なぜか初めて会ったとは思えないくらい話しやすく、それからもどんどん話は進んだ。
彼女の名前は神崎 葵。
同い年で春から同じ学校へ進学すると言うこと。
お互い、星を見ることが好きということ。
その他にもたくさんの他愛の無い話をした。