確かにデートみたいだな。
意外な展開に、俺はちょっとうれしくなる。
でも、ま、その浮足立った気持ちは表に出さないように。


いつものスーツ姿と違って、ラフな格好はしているが、スタッフの中には俺のことを気が付くやつもいるかもしれない。

俺は、サングラスをかける。
髪も前髪をおろす。

花は、じーっと俺を見て。
「なにそれ、変装?」

「なるべく、一般客に混ざって偵察したいからな。」

花はくつくつとおかしそうに笑って、俺を見上げる。
「似合ってるよ。その方が、高校の時を思い出す。」

かわいい。。。
このまま、エレベーターの中で抱きしめたくなる。

ぐっとこらえて、俺は一階のボタンを押す。

エントランスを出て、入り口前のセントラルパークには、既に家族連れや、カップルが芝生の上で遊んだり、くつろいでいる。
移動車販売のコーヒースタンドや、ホットドック屋も出始めた。

「お天気良くてよかった。」

「ん。」

「コーヒー、私奢る。 朝ごはんのお礼ね!」
そう言って、花はコーヒーと書かれた旗がはためくワゴンの方へ走っていく。