「おいひー!土鍋のご飯うまーい!!」

さっきまでショボンとしていたくせに、ものすごいハイテンションで俺の作った朝飯をかっこむ。
2人とも昨夜の事は無かったかのように、食卓で向かい合っている。

ホントにこのくらいなら、毎日お前のために作ってやってもいい。

「南くんは、やっぱり料理の天才だ。」

「ん?」

「南くんのお弁当、いっつも美味しそうだったから。 仲良しだったら、つまみ食いさせてもらえるのに、、、っていつも思ってた。」

「朝飯きちんと食べないと一日が始まらない。
お前は、仕事や作品の作業になるとメシもロクに食わないんだろ?
一週間風呂入んないのとおんなじで。」

「ははは。なんでわかるの?」

「そういえば、昔、図書室に新刊が入ったりすると、お前はそれに夢中になって宿題はしないわ。
遅刻はするわ。髪はボサボサのまま学校来るわ。
特にシリーズや全集が入ってきた時は、ヒドかったな。それと同じだろ? 
夢中になると寝食忘れてそれに没頭してしまう。」

花は、びっくりして、俺を見る。

「言われてみればそうだったかも。よくご存知で。」

「……………。」

「南くんは、ずっとこうやって朝ごはんも作ってたんだ。」

「もう染みついちゃったんだよ。そういう癖が。」

「奥さん、必要ないねー。なんでもできちゃうから。」
てあはははと笑う。

「おまえが必要なんじゃないのか?」
思いっきり皮肉を言ってやる。

「その通りです。」
花は、観念したようにうつむく。

やっぱり、俺は花といると楽しい。 
花は、どう思っているかわからないが。