ああ、また、私、このバスルームにいる。
広くてゆったりとしていて気持ちいい。
それに、ここからの眺めの良さ。
朝の東京の街を見降ろしてお風呂に入れるなんてスゴイ。

気まずい雰囲気にいたたまれなくて、バスルームへ逃げ込むように入った。

ますます私は混乱している。
お風呂からあがったら、どんな顔をして南一徹と顔を合わせればいいのだろう。

そんな事を考えながらバスルームからみえるその景色に見惚れ、ウッカリのぼせそうになる。

バスルームを出ると、あのふかふかのバスタオルと前に借りたスウェット上下が置いてあって、もう既に焼き鳥の匂いが染み付いた私の服は洗濯機の中で回っていた。

リビングに戻ると、南一徹はキッチンで手際良く何か作っている。
お味噌汁のいい匂い!
私は、ダイニングのテーブルに近づく。
彼は、ポンっと出汁巻卵をまな板にあげてスッと包丁を通し、切ったものをシンプルな白いお皿にのせる。

「いい匂い!」
私は言う。
土鍋で炊いたご飯と大根と油揚げのお味噌汁。
だし巻き卵。納豆。ぬか漬けまであるー!

それだけでも、私にはすっごいご馳走!!

「南くん!スゴイ!」

「おまえは、またずっとまともに飯を食ってないだろ?食え。」

私は、お腹がすいて、昨夜のこともさっきのことも忘れて嬉しくなってしまう。
南くんの朝ごはんだー!

テーブルの席に着く。

「うわーい!いただきまーす」