「はいっ!チーズ!!」


「忘れないでね!!」


外からは卒業を祝う声や別れを惜しむ声が聞こえてくる。

そんな様子をいつもの窓から眺める。

ガラッ

『先生?』

声のする方を向く。

聞き間違えることのない声。

毎日耳に入ってくる声。


「いきなり呼び出して悪いな」

『いえいえ!!』

「ちょっと時間いいか?」

『はい』

僕は君と教室を出て、外に向かって歩いて行く。

廊下、靴箱、中庭、グラウンド。

君は通り過ぎる景色を少し寂しそうに眺めながら、僕の少し前を歩く。

そして校門前。

『ここを出たら、この学校の生徒じゃなくなっちゃうんだな…』

君がポツリとつぶやく。

僕は何も言わず、校門を通り、学校の敷地の外に出て、まだ敷地内にいる君に微笑む。


そして君も微笑み、敷地の外に。


そして…




「僕は君を愛しています」



今まで伝えれずにいた僕の想い。

やっと君に伝えることができた。



君は目を見開き、そして涙を流す。

そして微笑み、私に抱きついてくる。

僕は小さな君を抱きしめ返す。



その瞬間、たくさんの桜の花びらが空を舞った。




『私も… 私も先生を愛しています』