『先生!!』

後ろから呼ばれる。

間違えるはずもない、君の声。

僕は振り向き

「どうした?」と応える。

『私、受かった!大学受かりました!』

今まで見てきたどんな笑顔よりも輝く君の笑顔。


「おお!よかったな!!おめでとう!!」


『ありがとうございます!!』


そのまま話しながら二人で廊下を歩く。


『先生、私もうすぐ卒業です!』

「そうだなぁ」

『もうすぐ、大人です!!』

君は僕の前にぴょんと立ち、ニカッと笑う。


そう。

君にこの思いを伝えることは叶わない。


桜舞う季節までは。

この想いは秘密のままで…。