僕の腕の中には君がいて。
君の傍で想いを伝える。


放課後のグラウンド。
いつものように夕焼けの中の君を見ながら、よく見る夢を思い出す。



夕焼けの中の君は何かに気付き練習を抜け出し、走り出す。


君の向かう先には一人の男子生徒が手を振ってる。


男子生徒が君をつれ、二人で人目のつかないところへ場所を移動する。

それでも、ここからは見える場所。

僕はただただその様子を見つめる。

男子生徒が君に何かを伝えると、君は一瞬驚き、申し訳なさそうな顔をして男子生徒に話しかける。

男子生徒は悲しそうな笑顔で首を振る。

そして君は男子生徒に頭を下げ練習に戻る。


《告白》


すぐにわかった。

男子生徒は断られたようだった。

でも…
それでも…

彼は自分の想いを伝えることが出来た。


僕は、伝えることすらできない。

君に、この口で、夢の中の僕のように、伝えることさえも。


だけど、この想いを捨てることも、抑えることも出来ない。



唇を噛み締め、少しの時間窓からグラウンドを眺めたあと窓を閉め教室を後にした。