ふたりは少し不思議な変な子だった。
扉が3つ、赤と黒と白。
ふたりは鍵がかかってるといった。
目の前のふたりもまた、鍵がかかってると。
鍵は、片割れがいないと扉が開けられないから。
片割れがいないのに、扉を開ける必要がない、そういうことなんだ。
ふたりが選んだ白い扉の鍵は、ふたりでいることで開いた。
それでも、空白。
【全部ある】と【何もない】
全部ある、は
幸せがあれば、同じだけの不幸せがあること。
何もない、は
幸せがなければ、同じだけの不幸せもないこと。
だから、空白。
なら、どうすればいいのか。
全部望むのは高望みだと、
幸せだと思えるだけいいと、
白い扉を開けるしかないのだろうか。
わけもなく、ぽたりと涙が頬を伝う。
悲しくも苦しくもない変な感情だった。
ふたりは少し不思議な変な子だった。
「扉には鍵がかかってる」
片割れが目を閉じて呟く。
「鍵はもうある」
片割れも目を閉じて呟く。
「でも」
「まだ扉を開けない」
――――あけない。
あけられない、じゃない。
あかない、じゃない。
「・・・いい、の、それっ・・・」
なんてむちゃくちゃなんだろう、
思わず涙をのみながら笑ってしまった。
少ししょっぱい味がして、パズルが解けたのだ。
まだはまらないピースはあるけど、もう場所は限られた。
目の前のふたりは目を開けて笑い、
「白い扉で不幸せまでなんていらないわ」
「扉の数は限られてても、色は限られてない」
「3色だとしても、塗り替えてしまえばいい」
幸せの色に。
さっきまでの涙とは違い、別の涙がぼろぼろとこぼれ落ちていく。
「答えはわかった?」
「もし明日、世界が終るとしたら?」
きっと、こういうんじゃないか。
どこからでてくるかもわからない自信をもって、それは言葉になった。
『明日、世界は終わらない』
誰も考えられないような
意味の分からない答え。
でもきっと、ふたりはこういうんだろう。
ふたりは私に答えを望んだんじゃない
ぱちり、最後のピースがはまり、それは脳内に夕焼け色で映し出された。
ふたりは少し不思議な変な子だった。
ふたりはいつもふたりだった。
ふたりは私の視界を変えてくれた。
今、どこにいるのかもなにをしてるのかも
幸せなのか不幸せなのかもわからないけど。
「ありがとう、さようなら」
手を振った私にふたりは言った。
「答え、でたの?」
きっとクラスの彼女たちが聞いたらバカにされるんだろう答えを、私は笑顔で言った。
「扉はね、あけないよ
まだ開ける必要がないし、鍵が壊れちゃってあかないから
闇も光も、どっちも好きだよ
暗闇なら月があるし、まぶしかったらサングラスがあるじゃない
もし世界が終るなら
ふたりを探す旅にでようかな」
-END-
初めまして。
ここまで読んでいただきありがとうございます、月です。
処女作がこんな衝動書きになるとは思ってませんでした、嘘です正直思ってました。
さて、読んで頂いた感想皆様いかがでしたか。
正直、「は?????」ってなった方が多いでしょう作者もその一人です。
この作品は短編のふたり組の男子生徒が中心です。
なんとなく学生、なんとなく1年生、なんとなくの季節で全て曖昧な表現にしてあります。
目線となってる女子生徒、ふたりの男子生徒と女子生徒、その他登場人物に名前はありません。
扉、みなさんはどう思いましたか?
そもそもこれを作るきっかけになったのが扉なので、重点的に書きたかったのですが表現力などの問題ですね…。
あまり細かい表現はせず、
ずいぶんとおおざっぱにはしょってしまいました。
少し読みづらい箇所、理解しにくいところがございます。
もし気になることなどありましたらお手数ですがご連絡いただければ幸いです。
また皆さんは扉を開けるか、などの感想もお待ちしております。
とても読みづらい超短編、【ふたり】を読んでいただきありがとうございました。