私はため息をつきながら毎日かよっている銭湯の中へ入った。
昔ながらの匂いがするその中で靴を脱ぐと女将さんがいつもと同じように「元気かー」と声をかけてきた。
いつもなら適当に返事をするのだが今回は言葉すらも出さずに青ののれんの下をくぐり抜け、すぐ服を脱いで浴場に入った。
時間も時間だからか人は数えられる程度しかいなかった。
ひと通り体を洗ったあと人が一人しか入ってなかったため36度くらいのぬるめのお湯につかった。
浸かりきったあと横から見知らぬおじさんが
「どうした、ずいぶんと元気ないんだな。」
と声をかけてきた。
私は心の中でため息をつきながら
「はい、色々とありましてね。」
と雑な答えを返した。