表情を変えずに黙って俺に言葉に耳を傾けるお祖母様に俺は言葉を続けた。



「でも俺は今まで平凡に生きてきました。確かに俺の才能は人並み以上ですが、この生活が心地いいんです」



それにもし仮に速水家を継ぐとしても…



「俺は愛のない結婚はしません。お金持ちの家には政略結婚というのがあるのでしょう?俺は好きでもない女性には興味がありませんから」



そう告げた俺は静かにソファーから立ち上がって、リビングから出ようとドアノブに手をかけた時、お祖母様から呼び止められた。



「お待ちなさい、志樹。光里さん、少し席を外してもらえるかしら」


「え?あ、はい!」