「お祖母様、1つお聞きしたいことがあります。なぜ今になって俺たちの前に現れたんですか」



そう尋ねた俺は、お祖母様は手に持っていたティーカップをソーサーに置き静かに口を開いた。



「速水グループを継ぐものがいないからよ」


「……はい?」


たったそれだけ?たったそれだけで俺たちの前に現れたのか?


「雅人が家の跡を継がないといい、光里さんと駆け落ちして以来あなたの祖父が今まで速水グループを支えてきました」


お祖母様の口から出てきた言葉に一瞬飲んでいた紅茶を吹き出すところだった。



(はあ?!駆け落ち?)



予想外の言葉にキッチンから「えっ!?」という声が聞こえた。